1986年10月にNEC(日本電気株式会社)の中央研究所の研究所員だった32歳当時，コンピュータの設計についての世界最高の国際会議とされている，ACMとIEEE共催のInternational Conference　on Computer Design(ICCD)で「VLSIアーキテクチャ評価」についての研究を発表するためにニューヨークを訪れて撮影した作品です．世界最高の国際会議だけあって，カクテルパーティーにディナーショー，…アトラクションには「スターウォーズ」の効果音を担当した人が呼ばれて面白い話を聞かせてくれるなどしました．

想い出ある1枚なので，この写真には長い注が付きます．

前日，ケネディー空港に一人で降り立ちました．初めてのアメリカでした．日はもう暮れるというのに，ホテルへどうすれば辿り着けるのか分からなかった．空港には日本人はおろか東洋人さえ居ませんでした．世界最高の国際会議でもNECにとっては日常茶飯事で，気楽に送り出されたのだと思います．

「とにかく小銭を作ろう」と絵葉書を買うとき店の人に聞いて，市外通話を掛けるには始めに「1」をダイヤルしないといけないことを知ってホテルに電話…リムジンを紹介されて，1泊して…ようやく人心地がついたアメリカでの2日目の撮影でした．

日本の市外通話局番のどれにも「0」がついていることを不思議に思ったことはありませんか？どれも「0」なら無くてもよいのでは？…いいえ，「0」は市外局番ではなく，電子交換機に対して市外通話であることを知らせるための符号で，「0」をダイアルすることは絶対に必要なのです．アメリカではこれが「１」だったのです．初めて訪れたアメリカで日本のことを知るという不思議な体験でした．「0」を市外局番だと言ってしまうNTTの賢明さには脱帽です．

初日のホテルから国際会議場になってたホテルまでの移動には鉄道を使いました．上の写真は「ペンシルバニア・ステーション」と「グランド・セントラル・ターミナル」という駅の間を歩いていて通りがかっての撮影でした．

シャッタースピード優先で1/90秒を指定して，絞りはAEだったと思います．

写撃手よ，感性のおもむくままに，撃て！…カメラはCanon A-1でした．

EVマイナス2からプラス18(ISO 100)に及ぶワイドレンジで5モードのAE機能が動作！．絞り優先の撮影機能を持たないAE-1に始まるAシリーズカメラの最上位機種Canon A-1はこのときも確実に動作したのです．